山本良介アトリエ+関谷虹

山本良介アトリエ+関谷虹 新着 紹介 所員 協力 アトリエ
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嵯峨

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作品名 貴了館
敷地 京都市上京区
用途 個人住宅 工房
規模 木造 地上2階
面積 延床255.07㎡
掲載誌 住宅特集 2006.02
   
協力 施工:竹田工務店

撮影:松村芳治


またまた茶道具商の方からのお仕事。

2階のアトリエへ続く鉄板階段を、コツコツと音をさせながら上がって来られた。

「山本さん、陶工家のいい家ができましたね。山本さんらしい。」

「施主いわく、色んな方が訪ねて来られて仕事にならんと。喜んではります。」

「ところで今度は改修工事だけれどやってくれますか。」

坂東玉三郎さん、片岡孝夫さんなどの舞台衣装を製作される刺繍家、長艸敏明さんのアトリエ作りだという。

今をときめく刺繍家だ。黒柳徹子さんの徹子の部屋にも出演されているのを見掛けたことがあって、すごい人がいるもんだと思ったのを覚えている。その人との出会いであった。

 

さて、家を見学させてもらった。

京都らしい立派な母屋に広い作業スペースがあって、書庫蔵もある。なんで今更別棟を購入して改修する必要があるのかと尋ねてみると、「母屋は狭くてあきまへん。しかも暗い。徹夜の連続で、車の音が気になるようになった」そうだ。現在この家で刺繍教室も主催されているのだが、「作業場と教室が一緒になっていて具合が悪い」という。 さらに、足腰を鍛えるために能をしているので、アトリエと一緒でも構わないから大鏡の部屋がほしいとうことだった。

 

建物をよく見ていくと、元は建売住宅であったようだ。柱は細く、あっちこっちに柱が乱立、梁はひ弱で、ドンと足踏みすると家がガタガタと揺れる。間取りは小割りで使い勝手も悪い平面だった。基礎も簡易過ぎる。何よりも、繍師長艸の家として相応しくない。

 

これはゴタゴタと説明するよりも、僕としてはこうしたいという案を出してみようと考えた。 可能な限り役に立ちそうな骨組みは残し、瓦屋根も残す。無駄で無理をしている部分は取り除く。設備は十分使えるだろう、というように整理していった。

 

長艸さんの顔となる家に変身させることを目的に3案つくった。

「いずれもお金がかかる。どうしよう。」

「お金は天下の回り物。よりすごいものを製作なさって、お金の廻りを良くしましょう。小判がどんどん入ってきますよ。」

建築家が勝つか、刺繍家長艸敏明が勝つか勝負しましょう、ということで話が決着した。 3案のうちの1案を基本に進めることが決まった。

「できれば吹き抜け空間に、大きな壁をつくってほしい。山本さんとの勝負の作品を展示するから。」との言葉に

「いいですよ。作品に負けない空間を造りましょう。」と応える。

 

元々あった井戸にポンプを入れて見ると水はまだ生きていた。中庭、廻廊、前庭に細い川をつくる。砂利を敷き詰めた浅瀬の川が流れる前庭をすすむと、長艸さん自筆の暖簾が掛かり、大猿戸の勝手口と裳階屋根がピリっとお迎えする。暖簾をくぐると、玄関土間には長艸作品がお行儀欲展示され美しく並んでいる。

さすがに長艸氏お見事。建築家山本良介見事に負けた。

「山本さん。刺繍の材料も買えないくらい貧乏になってしまった。仕方ないからきばりますわ。」

 

最近は、全国各地遠くからも訪ね来られ、観光バスが入っていることもあると、隣の西陣織組合長からきいた。長艸敏明美術館のようになっているらしい。

あまりにもボロ家でかなり手こずった。しかし京都西陣にこんなアトリエが軒を連ねて建ってほしいと思いながら設計をした。難しかったが、思い出深い家となった。

 
 

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